「んでさぁ、サユリったらそこでお兄ちゃんに牛乳ぶっかけてぇ!」

「したらアキラが泣いたんだよなぁ!」






サユリが牛乳ぅぅう!!って!!



とお兄ちゃんのマネをするお父さんに
大爆笑するお母さん。



お兄ちゃんは恥ずかしそうに
やめろお前らぁ!!と

お酒のせいなのか恥ずかしいからなのか
顔を赤くしながら両親を怒鳴る。






…やっぱりこうなるのね。








「お母さん、お父さん、お酒飲み過ぎだから!」

「お前らが全然飲んでないんだろ〜?
ほら、律樹くんも飲みなさい!」

「あ、今日車で来たので
お酒は遠慮しておきます。」







酔って絡むお父さんに
律樹が爽やかスマイルで返すと

お父さんは
「うっ、眩しい…!」と言って

律樹から離れる。




…律樹すごい…。







(営業スマイルは誰にでも使えるのか…。)







王子キャラも侮れないな、
と思いながら

律樹に感心する。






-----すでにあれから2時間経過し、
時刻は午後8時半。








(もう皆ベロベロだし…。
そろそろ帰ろうかな…。)






私はそう思って
お母さんに言う。






「お母さん、あと少ししたら
私たち帰るね。」

「えぇー?!もう帰っちゃうのー?!」






嫌だー!もう少しいてよー!

と駄々をこねるお母さん。




何でそんなに居座って欲しいのよ…。







「こんな爽やかなイケメン、滅多に拝めないんだから!!」

「目的それかよっ!!」






イケメンな芸能人出てる番組でも見てなさいよ!!

と私がお母さんにつっこむ。



ったく、
人の彼氏を何だと思ってんだか…。








「律樹、帰る準備しておいてね?」

「ん?…あぁ、分かった。」






律樹にそう告げて

私はいくつか空になったお皿を下げて
台所に持っていく。




お父さん達が仲良くお喋りしている間に
私はそれらを洗って

片付けを少し終わらせる。







(…よし、これでオッケー。)






手を拭いて
リビングに戻れば


すでにお酒に弱いお兄ちゃんは
薄っすら眠りに入っていた。






「じゃあ皆、もう帰るね。
…お兄ちゃん、私達帰るよ。」

「ん…マジかもう帰んのか…。」







ウトウトしているお兄ちゃんを起こして
帰りを告げる。



お父さんとお母さんも立ち上がって

私たちを玄関まで送ってくれた。








「今度またゆっくり遊びに来てね〜。
あ、でも次は結婚式?かな?」





お母さんが少しニヤニヤしながら
私たちを見て言う。







「っ…いいから、そういう冷やかし!」

「ふふ、はいはい。
…じゃあ、またね2人とも。」







体調には気をつけて、

という言葉をお互いに言ってから
私たちは玄関を出た。








「…ふぅ、無事に終わった。」

「楽しい家族じゃねぇか。
皆面白かったぞ?」






お前が言うような感じは
全然感じなかったけど、



律樹はクスクスとまだ笑みを浮かべたまま
楽しそうな顔で私に言う。




…それなら良かったけど…。







「…じゃあ、帰るか。」







律樹の言葉に従って

私たちは車に乗り込む。