「-------犯人はアンタかこの野郎。」

「…す、スンマセン。」






昨日

家に帰ってきてから
元気のない律樹の様子が

どうしても気になったので



律樹に内緒で

休憩時間におーちゃんへ電話をかけた。








「だって〜
男が求婚なんて 重くね?」

「いや、むしろアンタが軽いんだよ。」






つか軽すぎ!
そんぐらい普通だから!


と私が率直に告げれば


おーちゃんは少し しょげながらも
ごめん…と謝ってくる。





通りで凹んで愛を囁いてくるわけだわ…と

嬉しかった反面可哀想になりながら
律樹を哀れむ。




部長、こんなチャラ男に恋愛相談は
そんなアテにしちゃダメっすよ。







「てかさ〜、サユリは本当に
あいつと結婚する気あるわけ?」

「…え。」

「あいつの奥さんになるつもりなの?って聞いてんの。」






まぁ俺はあいつの親友だから
むしろオススメではあるけどさ。


と電話越しに話すおーちゃん。





それは…まぁ…







「最近は考えるように…なったけど…。」







律樹が本気で言っていると感じてから

私もきちんとそういうのを考えるようになった。確かに。





覚悟も…あるつもり、だし。







(まぁちょっと…あの家族相手にするのだけは根気いるけど…。)






と、神崎家のレディ達を思い出して
苦笑い。


まぁでも…そんな会うわけでもないし。





結婚したらしたで
案外どうにかやっていける気はする。








「わぁお。
そっか〜、ついに先越されるかぁ〜。」

「わかんないよ?
ちゃんとしたプロポーズ されたわけじゃないし。」







そう私が言うと

電話の向こうで
おーちゃんがクスクス笑っていた。




…何だよその笑いは。







「ま、楽しみにしとけ〜。
んじゃ俺も仕事だから、また今度ねー。」

「はーい、どうもでしたー。」







と言って電話を切る。





(……そっかぁ、プロポーズかぁ…。)






律樹に やっぱされるのかなぁ…


なんて考えて
ボーッと立っていれば








「------おい。」






ガシッ!



後ろから低い声がして

肩を掴まれる。





なんとまぁ 噂をすれば…







「誰と話してたんだよ。」

「…いや、その…。」






部長、登場。