「………。」

「…神崎くん?大丈夫か…?」

「…へ。」








俺は課長に声をかけられて
ハッとする。








あれから数日が経った---。




というのに



俺はここ最近、

頬を緩ませながら
しょっちゅう ぽけ〜っとしている。








---それもこれも、全部あいつのせい。









(…何であんな可愛いんだよ。)









遠目で

サユリが同僚の女子と話しているのを
確認しながら、そう思う。








あの日




やっと体が結ばれてから

俺の欲は止まることを知らず。







毎日のようにサユリを求めている
この自分の体を抑えるのに

今日までいつも必死だった。







(…ダメだ、見てると余計に煩悩が…。)







俺は目を逸らして
頭を掻く。







…いや、でも そんなことより






俺の心がこんなに満たされて

幸せに浸る理由は別にある。







それは…







(……絶対来週までに指輪買う。)








---そう、結婚の話だ。






ポロッと本音を漏らして
あいつに告げた時



初めて…サユリも結婚したいと言ってくれた。







それが、今の俺の姿の原因。









「最近働きすぎだから
少しは息抜きするんだぞ?」

「あ…すいません、ありがとうございます。」







課長にそう返事をして

俺は仕事に戻る。







---はぁ…マジで





幸せすぎて集中できない。