「ねぇ、そのニヤニヤ…何?」

「あ?」






資料室からの帰り道に

そんなことを尋ねる。




…何かその緩んだ顔
すごい怪しいんですけど…。







「……まぁ、明日のお楽しみってやつだろ。」

「はぁ??」






お楽しみにするのは貴方の役目なんですけど…。




と私が言うけど

聞かない振りして
クールにかわす彼。


…本当に、何考えてるのこの男は…。







「早く教えてよ、欲しいもの。
無くなったらどうするの?」

「いや、無くなってることはありえねぇから心配するな。」






じゃ、俺仕事戻るから。




いつの間についていたのか
オフィスの前で

私から荷物を取り上げて
自分の席へ戻っていく律樹。




…無くなるなんてあり得ない?






(どんなものだよそれ…。)






え、まさか相当高い家具…とか?

それとも超年代物のガラクタ?


……何かマニアックなグッズ?

それとも…







「……あ、旅行券とか?」






当日しか使えない旅行券とかじゃなくて
長期もののやつ、とか…?







(------読めない。)







全く

あの人の考えていることが読めない。






…高額商品だったら
ちょっと勘弁してもらおう…。