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「部長ぉ〜!
今日は本当にありがとうございまぁす!」

「ったく、あれほど注意したのに…
おいコラ、しっかり立て!」






-----とまぁ、このザマで。


お酒強いのは強いけど
それを超えるほどグビグビ飲んじゃえば

この通りふら〜っと酔っちゃうわけでして…。





でも仕方ねぇんだよ!
ここの酒がうまいのが悪い!






「罪があるのは酒の方ですよ〜!!」

「あ゛ー!分かった分かった!
分かったからくっつくな!」






前ほどではないけど
ベロンベロンに酔った私を
自分の体から引き剥がすと


そのまま助手席にボスッと座らせる。






「家まで送るから場所教えろ。」

「えー!家来るんですかー!」

「あ?仕方ねェだろーが。
嫌ならそのフラフラな足で家まで歩け!」






私のシートベルトまでやってくれて

そのままガミガミ言いながら
車のエンジンをかける。






「ほら、場所教えろ。
それか身分証明書か何か出せ。」





どーせ道案内なんて今の状態じゃ無理だろ、と

何か出せと部長は私に左手を差し出す。






「ん〜…じゃあ部長の家で飲み直しましょー!」

「…はぁ?!
おまっ…バカ言ってんじゃねェ!」

「えー!いいじゃないすかー!
自分まだ飲み足りないですー!」

「チッ…お前はまだそんなことを…!」






舌打ちをしながら
部長は隣にいる酔っ払いを見る。



もちろん部長はお店で

目の前で飲んでいた私を見ながら
自分はお酒は一切飲んでいない。



シラフと酔っ払いの温度差ほど
辛いものはきっとないだろうに。







「それに部長飲めてないじゃないですかぁー!
奢ってもらっちゃったし、酒くらいなら次私が奢りますよ〜!」






そんなことお構い無しに

ベロンベロンの私は
部長にそう言って絡む。



この私をシラフの私が見たら
部長に土下座したくなるほど申し訳なくなるに違いない。






「アホか!
お前そんなことばっか言ってると
また襲うぞコラ。」

「ぎゃー!ケダモノー!」






部長は呆れ顔になりながら
ぎゃーぎゃー騒ぐ私にそう告げて

それが嫌なら早く出せオラ、と左手を私の前に出してくる。



私はうぅ…と唸りながら
観念したように
部長に住所の分かる何かカードを1枚ベシッと渡す。

ちょっと何を渡したかまでは覚えていない。






「…へぇ、お前会社からそんな家遠くないんだな。」

「そーですよー。
わざわざ引っ越しましたもーん。」

「なるほどな。」






そのカードを見ながら
部長は車を走らせていく。




(んー…超美味しかったなーあの店…。)






車にユラユラと揺らされながら
目をつぶってそんなことを考える。


部長の奢りでこんないいもの食わせてもらうなんてなぁ…。


家にまで送ってくれるなんて…






(部長って実はそんな…悪い人ってわけでもねぇのかなー…。)







なんて

薄っすら遠のいて行く思考の中で
そんなことを考えていた。