「じゃああの…ラザニア頼んでもいいですか?」

「…ラザニア?」





私が悩みに悩んで
ラザニアを注文したいと告げると

は?という顔をして部長が一緒にメニューを覗き込む。




え、ラザニアダメだったかな…。







「あの…これなんですけど。」






そう言ってメニューを指差せば
部長はそこに視線を移す。






「…へぇ、ラザニアなんて置いてあったのか。」





と言って
それからまた少し悩んで

俺も決めた、とメニューから顔を離す。



…別にラザニアがダメというわけではないらしい。




私は少し安堵して
それから店員さんを探す。


すると先ほどの店長さんと目が合い
ニコニコしながらこちらに歩いてきてくれた。






「ご注文はお決まりですか?」

「あ…えっと、このラ「ラザニア2つ。」




………へ。





私は声を発した目の前の彼に目を向ける。

部長は何ともない様子で
ん?と目だけこちらに向けてくる。




(…部長も同じもの頼むの?)





さっき
ラザニアなんて頼むのお前?
みたいなら顔してたから

まさか同じものを頼むなんて思わなくて驚く。







「かしこまりました。少々お待ちくださいね。」






そう驚いてる間に
他にも色々部長が頼んだ後に

優しく笑って店長さんが去って行く。







「お前酒強いよな?」

「あー、まぁ…。」

「じゃあ問題ないな。
…あ、でもこの前みたいに飲みすぎんなよ。」





(なっ-------!)






部長が口角をあげながら
ニヤッとして私にそう告げる。


そ、そんなの言われなくても分かってるわ!!





と私が思っている間に
部長が頼んだであろうワインが運ばれてくる。





(………この人は本当に…。)






人を馬鹿にする天才かよ、
なんて悪態を心でつきながら


それでも愉快そうに
運ばれてきたワインを私につぐ部長を見ていると何か憎めない。






「ん、ほら飲めよ。
飲まねェなら俺が全部飲むぞ。」

「え…あぁ、じゃあいただきます。」






そう言って飲んでみると

これがまた絶品で…







(-----うまっ!さすがこの店に置いてあるワインだな。)






なんて

まんまと味にハマってしまって…