-----そして私たちは駅に向かって
おーちゃんを待つことに。








「…なぁ、そいつどんな男。」






待ちながら
律樹が私にそんなことを聞いてくる。


…少々眉間にシワ寄せちゃってるけど。







「うーん……
とりあえず、優しくてクールで
お兄さんっぽい感じ…かな?」

「…へぇー。」








(うっ…
自分で聞いておきながら不機嫌そう…。)






心のこもってない へぇ、に
私は苦笑いをしつつ

律樹の手を握る。


そんな私に、律樹も握り返してくれる。









「律樹、大丈夫だから。」

「…何が。」

「律樹以外好きにならないよ。」

「っ!」






彼を安心させようと
普段こんなことを言うようなタイプじゃないけど


私は彼を見上げて
そう言う。



…正直な気持ち。








「…知ってるっつの。」

「ふふ、とか言って不安だったんじゃないのー?」

「っ…るせぇ!」







照れながらそう怒る律樹に
クスクス笑っていると


少し向こうから
知っている声が私たちを呼ぶ。








「律樹ー!サユー!」







(あ、おーちゃん!
…と、その隣にいるのは……。)







おーちゃんともう1人の男の人が
私たちの前までやってきて。


おーちゃんはいつものように
ケラケラ笑いながら

律樹に彼を紹介する。








「俺の幼馴染の黛陸也!
お前ともタメだから。

この人は俺の親友の神崎律樹。
そんでサユの彼氏。」

「サユリの彼氏…!
どうも、黛です。」







そう言って律樹に会釈をする彼こそ

…私の初恋の相手、黛陸也くんだった。






昔と変わらないその姿に

懐かしさを感じながら見上げていた。








「…サユリ、デカくなったなぁ。」







律樹と挨拶を済ませた彼が
私を見て 柔らかい笑顔で言う。



…あ、この感じ すごい懐かしい。







「久しぶり、陸也くん。
6年ぶり…くらいだよね。」

「そうだな。
最後に会ったの、サユリが高1か中3の時だもんな。」






久しぶり、と挨拶を済ませると

おーちゃんが笑顔で私たちを
予約をしたというお店まで案内する。





その間も、律樹とは手を繋いだまま。