「あ〜…そうだ!!
アレだったら律樹も連れてきていいから!
とにかく、あいつもお前に会いたがってんだよ!」







だから、よろしくな!




そう言って返事のない私を無視して
おーちゃんは電話を切った。






(陸也くんに…会う。)






頭でそう繰り返すものの

あまりの驚きに
呆然と立っていた。





…え、会うって…今から?









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「おーい、上がったぞ。」





少ししてから

速攻で入ったらしい彼が
タオルで髪をわしゃわしゃと拭きながら



台所に立っている私にそう知らせる。






「あ…律樹。」

「…どうした?」






私の顔を見て何かを察した彼が
私に近づいて、そう尋ねてくる。







「今おーちゃんから電話があって…」

「………。」

「今から律樹と、外出てこいって…。」






この時
私はまだ彼に陸也くんのことを
告げられなかった。



…というか


どう伝えればいいのか分からなかった。









「…え、今からか。」

「う、うん。」

「…風呂入っちまったぞ。」

「…うん…。」

「………はぁ、仕方ねェ。」







髪乾かして用意するから
少し待ってろ。




そう言って律樹は
仕方ない、と準備を始める。







(…ごめんね律樹。
私の用事に付き合わせてしまって…。)







そう思いながら
私は彼の後ろ姿をみていた。