(…んー…お腹いっぱい…。)
お昼を食べ終わってから
マユコちゃんとオフィスに戻る。
満腹感に少しうとうとしながら
歩いていると
私の前に
大きな壁が立ちはだかる。
「…すいません、通れないです。」
「通れなくしてるんだもん。」
「何でですか。」
「んー?構ってほしさ?」
そう言って私に立ちはだかった壁…
長身の男は、もちろん彼。
爽やかなスマイルを浮かべながら
隣にいるマユコちゃんにお構いなく
私の目の前にどん、と立っていた。
会社で皆のいる前だからか
王子様口調だし。
そんな高い身長の人が私の前に立つと
前見えなくて通れないんですが。
てか…
構ってほしいって…学生か貴方は!
「ここは会社ですよ部長。」
「でも休憩時間だし?」
「そんなの関係ないです。」
「…少しくらい構ってくれてもいいのに。」
冷たくないですかー?
と
最近の甘えん坊なOLのような態度で
拗ねたように私を見下ろす律樹。
…王子様キャラだと
こんなにも可愛い子ぶれるのかよ。
「ふふ、じゃあ私は失礼しますね?」
「え!え、ちょ、マユコちゃ…!」
「---お前はこっち。」
そう言って
空気読みます、とでも言うように
ニコニコ微笑みながら
マユコちゃんは1人先にオフィスに戻って行った。
それを追おうとした私を掴んで
むしろ逆方向に
律樹に連れて行かれる体。
「ちょっと…!何してるの!」
周りに人がいないのを確認してから
私は彼にそう声をかける。
「…まだ話終わってねぇだろ?」
彼は周りに誰もいないのを確認すると
いつもの口調でそう私に告げる。
それを聞いて私が
先ほどマユコちゃんとちょうど話していたことを思い出す。
「あ…!そう、それの件でお話が!」
「何だ、する気になったのか?」
「いや、それがあのもう1つ提案が---」
「却下。」
「え、返事早すぎない?!」
私が例の"半同棲"のことを言おうとしたら
言う前に却下された。
ちょ、人の話聞いてよ!

