そして私たちはお店へ戻ると


お母様が私を見て
嘲笑いながらも






「大丈夫?どうかしたのかしら?」







と 確信犯的な反応をする。




私はそれに「失礼しました。」と
嘘でも笑って返す。



そして席に着けば


また彼女たちの攻撃が開始する。









「…ふふ、涙でお顔が台無しよ?」







と まりなさんが言えば
お母様もクスッと笑う。



そんな2人に「お前ら---」と
律樹が食ってかかろうとしたのを


私は見えない位置から
律樹を手で制して 止める。








「…少しお化粧室で直してきますね。」








そう言って力なく微笑みながら

私は1人席を立つ。








(…気にするな。大丈夫。)






あと少し頑張れば
これも終わる。



私があと少し耐えればいいの。






そう言い聞かせながら

脆くなった自分の心を
修復していく。






化粧室の鏡の前に立てば

涙のせいで
メイクが少し崩れていた。




私はそれを直してから

また深呼吸をする。








(………よし、行こう!)






覚悟を決めて
化粧室を出てテーブルへ向えば



戻ってくる私に背を向けて座っている
まりなさんとお母様が

私に気づかず
家族に話していた。







「いい?律樹、あんたあんな子とは絶対に結婚しないでよ?
みっともなくて恥ずかしいわよ。」

「お母さんの言うとおり。
つけあがる前にさっさと早く別れて。」







(---------!!)






…あ…これはまた

結構、くるかも。








「っ、お前ら…!」







ついに律樹が立ち上がって
殴りかかるように
前かがみになりかけた時---





スッ…と、彼を制止するように
席を立ち上がって手を差し伸べたのは







「…父さん…。」








律樹の、お父さんだった。