-----で、結局。





「………。」






午後7時27分。

私はこうしてまた部長の言いなりで
オフィスに1人残っていた。



1人で明日やればいい仕事をしながら
時間を潰す。




(……遅いなぁ。)





なんだかんだ待ち始めて1時間は経っている。

別に待ち遠しいとか
そういう意味ではないけど

そんなに仕事が長引いてるのか

もしくは何かあったんじゃないかとか


いろんなことが頭によぎるのだ。






(……大丈夫かな…。)






なんて思いながら
仕事を一区切りさせると




-----プルルルル…!





と携帯の着信音が鳴った。





「はい、もしもし。」

『着いた。下へ降りてこい。』





-----ブツッ





たった一言
それだけで電話は切れた。




(っ…この男は本当に…!)





1時間待たされて心配してたってのに
謝罪の一言も何もないのか!

と少し怒りながらも

荷物の用意をして
下へ降りる。







(……ん?あれ?)







下に降りたところで

そこには誰の姿もなかった。




警備員さんだけがそこに立っていて

部長に限らず
会社員らしき人は他に誰もその場にいなかった。





(え…?待ってどこにいるのあの人。)





私は少し混乱しながら
周りをキョロキョロと見渡していると






「-----おい。」







前の方から声がして
顔を向ける。


……え!







「どこ見てんだよ。早く乗れ。」

「え…え、これ部長の…?!」






会社の前の方で止まっていた
黒い高級車に寄りかかりながら

不機嫌そうに立っているこの人…




間違いなく、部長。







「そうだ。
さっさと乗れ。こっちは腹減ってんだよ。」

「なっ…!!」






そう言って車に乗せられる私。


本当に、どこまで俺様なのこの人…!!