「澪(みお)~!」





春特有のふわふわした香りを運ぶ風。



そんな風と共に聞こえた声。





「優梨!おはよう」





中学からの親友。花園優梨(はなぞのゆうり)。





「本っっ当に電車にお乗りして学校へ行かれるのですか!?」





この半泣きの男性は私の専属執事の三宅守(みやけまもる)さん。


私が5歳の時から一緒。




「しょうがないでしょ?高校は中学でしか行けないんだから…」





これは舞華高校のいじめだと思うわ。


中学までは送迎可なのに…。


高校からは電車のみ。




社会勉強らしいんだけど…。




「電車なんて…!


痴漢に盗撮。挙げ句の果てにはスリですよ!?


ああ、そんな場所にお嬢様をお送りするなんて…」