残り十五秒。 湊は大きく息を吸って吐いた。 そして順番に手をスイッチの上にそっと乗せた。 「辰だ」 根拠はないが自分に言い聞かせるように何度も心の中で繰り返した。 奇跡が起こることを信じて。 残り十秒。 湊はそっと手に力を込めた。 スイッチが圧力に負けて凹んだ。 だが何も起こらない。 湊はスイッチを押した自分の手を見つめた。 間違えたのか?