この手はもう、届かないけれど...


帰り道。
いつも通り一人で歩く。
…でも、後ろから足音が聞こえる。
誰かなんて、見なくても分かるけれど。

「…なんか用?」

後ろを振り向いてそう言った。
そこには、整っている顔の少年。
…今日転校してきた佐藤がいた。

「いや、別に…俺も家、こっち方面だから。」

「…へぇ。」

そういう事なら、仕方ないか。
私は再び前を向いて、歩き出した。
気付いたら、隣を佐藤が歩いていた。