「入りなさい」

担任がそう言うなり、
ガラガラと教室のドアを開ける音がした。

「佐藤 哲(さとう てつ)です。
今日からよろしくお願いします。」

聞いていて心地よい低い声。
私は思わず顔を上げた。
顔を見た瞬間、息を呑む。

そこには整っている顔立ちの少年がいたから。
太陽の光に照らされて茶色の髪がキラキラと輝いて見える。

私はふと我に返って、小説に目を落とした。
…転校生なんて、私には関係ないし。