「私は死なないわ。

あなたがいるうちは、死ねないわ。」

ずっと、ずっと、怖かった。

いつか、目の前から希が消えるんじゃないかと。

自分が死のうと思った時よりずっと怖いと思った。

自分が居なくなるよりずっと怖い。

「希、ずっと一緒にいて。

絶対離れないで。

いなくなったら、嫌だ。」

俺、今めちゃくちゃかっこ悪いな。

でも、それでもいい。

「当たり前じゃない。

離れろって言われたって離れないわ。」

そう言って、背中に回された手に力がこもる。

そのか弱い腕に、俺の不安は吸い取られていった。