次の日も、四時間目が終わりすぐに同じ教室に向かった。

すると、そこにはもう彼女がいた。

「遅いじゃない。」

「結構急いだんだけど?」

「私は朝からいるわ。誰が昼休みって言ったのよ。」

そう言って、彼女は持っていた本を閉じた。

「授業は?」

そう聞くと、淡々と当たり前かのように、

「私は今授業よりあなたに興味があるわ。

だから、あなたに会いに来たの。」

そう答えた。

「親は?先生は?友達は?何も言わないの?」

すると、やはり淡々と、

「私は私の生きたいように生きるの。

先生や友達や親のために生きてるわけじゃないわ。」

そう答えた。

俺が守ってきたものを、一瞬で打ち砕いた。

凄くいらついた。

「お前、喧嘩売ってんの?」

別に、彼女にしてみたら聞いたことに答えだだけだろう。

それなのに、俺が必死で守ってきたものを一瞬で捨てた彼女を羨ましいと思ってしまった。

「いいえ、私は今あなたを知りたいの。

私にはないものを持っているわ。

あなたになりたいとは思わないけれど、あなたを知りたいとは思うわ。」

失礼なやつだ。

しかし、偽りの俺を羨まないやつに初めて出会った気がする。