見慣れていたはずの校舎が新鮮に見える。


車を学校の駐車場に止めて、生徒玄関から校舎に入った。



「変わってないね」



「そりゃそうだよ。まだ1年しか経ってないんだから」



私の言葉に返事した美紅の“まだ”っていうのが私には引っ掛かった。


私からしたら“もう”なのに、美紅にしてみれば“まだ”なんだ。


当たり前だけど、やっぱり感じ方って違うんだね。


玄関の下駄箱も、入ってすぐに見える賞状やトロフィーも、卒業した時よりは少し増えたかもだけど、全然変わってない。



「真桜、見てみて!卓球部の写真だよ!」



美紅がはしゃぎながら、廊下に飾られた写真を指差した。


写真は今年撮られたみたいで、写りが鮮やかだ。


部活動の写真には本来、部員と顧問、副顧問の先生が写っているはず。


顧問は相変わらず喜多川先生で、端っこでピースしてる。


その反対の端っこを見ると私たちの時とは違う先生が写っていた。



「なんで、先生が卓球部の写真に写ってるの…?」



写真に写っていたのは大好きな金崎先生。



「美紅知ってた?」



聞いてみたけど、美紅は首を横に振った。