角を曲がって一気に校門まで走る。


でも私の横を、先生は軽々と追い越して行くんだ。


私のより重い荷物を持ってるはずなのに。


息を切らしながら校門に辿り着くと、先生は余裕な顔で私に「おっせーよ」って言った。



「く、悔しい…」



ゼイゼイしてる私の背中をさすりながら「無茶すんなよ」って優しく言う。


もうその手には乗らないんだから!


いくら優しくしたって、先生マジックにはかからないもん。


先生から逃げるように、私はまた走って校舎に入った。


バタバタと足音を立てながら廊下を走る。


さっき泣かないって決めたばかりなのに、1人でいたら泣いちゃいそう…。


冷たくなったり、優しくなったりする先生。


諦めたいのに、そんなふうにされたら諦められないじゃん。


苦しいよ…。


早くみんなのところに行きたい。


視聴覚室の前まで着くと、深呼吸して呼吸と気持ちを落ち着かせた。


ゆっくりとドアノブに手を掛けて、重い扉を開ける。



「たっだいまー!」



なんて普段なら恥ずかしくて絶対に言えない。



「真桜!遅かったね。なんか、あっ…た?」