「廊下に落ちてた」
煙草に火を点けながら先生が答える。
先生…煙草、似合ってないよ?
それにしてもなんで廊下になんか落ちてたんだろう。
「先生、中見た?」
「最初の方のページだけな。半分以上使ってなかったみたいだから」
先生の答えにホッとした。
もしこんなの見られてたら恥ずかしいもんね。
一番最後のページに書いた“好き”。
本当は先生の名前も書いたんだ。
でも恥ずかしくて、結局消しちゃったんだよね。
こんなことになるなら消しといてよかった。
ノートは持っていくわけにもいかず、とりあえず机の上に置かせてもらうことにした。
先生が煙草を吸い終わるまで、先生の椅子に座って待つ。
その間もずっと、煙草の匂いと先生との距離に、私の心臓はドキドキしてた。


