掴まれたところが熱い…。
「先生!手…痛いです」
私がそう言うと、先生は「わりぃ」って手を離してくれた。
本当は痛くなんてない。
ただ、これ以上触れていたら気持ちがバレちゃいそうで…。
だから咄嗟に嘘ついた。
前を歩く先生の背中を見ながら長い廊下を歩く。
私も先生も、何も喋らずに、ただ歩いてるだけだった。
それでも一緒にいれるだけで嬉しい。
私が思ってることってすごく矛盾してると思う。
でもね、この気持ちは知られちゃいけないの。
だってもし先生に知られちゃったら、今までみたいに話せなくなっちゃうもん。
そんなの嫌だ。
先生が普通に接してくれるって言うのも、それはそれで悲しいし…。
だから駄目なの。
「お菓子買ったげるから機嫌直せよ」
いきなり先生が口を開くからドキッとしてしまった。
しかもお菓子って…。
「私そこまで子供じゃありません…」
小さな声で反論してみる。
そしたら先生ってば笑うんだ。
「いらないならいいけど?」


