窓の外で桜が静かに舞ってる。


また春が来た。


高校を卒業して2年目の春。


私が会社に勤めてもう1年経ったんだ。


なんでこんなにも早いんだろう。


時の流れというものは。


桜を見ると思い出す。


懐かしいな、高校の入学式。


私、セーラー服着てたんだ、とか。


今着たら完全にコスプレになっちゃうよね。



「真桜(まお)、起きてるの?もうじき美紅(みく)ちゃん来るんでしょ?」



お母さんの声が階段の下から聞こえた。


それから部屋に掛けてある時計に目をやる。


美紅が迎えに来る時間にもう少しでなるところだ。



「なんでもっと早く教えてくれなかったの?!」



慌てて支度して、階段を駆け下りてお母さんに一言文句。



「起きてたんなら支度しておけばよかったのに。どうせ窓の外でも見てボーッとしてたんでしょ?諦めなさい。もうどうしたって高校生には戻れないんだから」



お母さんに言われて頬っぺたを膨らませる。


言ってることは当たってるんだけど、当たってるからこそ悔しくなる。



「戻りたいよ…」



私がポツリと言ったあと