階段を上ると、部屋がいくつかある。


手前の部屋だけ明かりがついていて、にぎやかだ。

水原くんが襖を開けると……。


「水原ー!!!」


部屋には人が大勢いる。



「ちゃんと紗奈ちゃんつれてきたか?」


あ、篠原くんだ。


「え!なになに、この子が水原の彼女!?」



みんなの視線がわたしに向く。

こ、こわい…!



「可愛いじゃん!」


…え?


「清楚系か!」

「水原はこういう子がタイプだったんだなー」



みんな水原くんをからかい始めた。



…誰も、「え?」っていう顔をしてない。

お世辞かもしんないけど、可愛いって言ってくれてる。



嬉しい………!




「紗奈ちゃんって言うんだよ!ね!」


篠原くんにそう声をかけられて、ハッとする。


「あ、あの、これよかったらみんなで食べてください…」


おそるおそる、昨日買ってきたクッキーの詰め合わせを差し出した。



「え!お土産!?めっちゃ出来た彼女じゃん!」

「水原お前いい子捕まえたな!」


ホッとした。


彼女として認めてもらえたみたい。



嬉しくて、水原くんを横目でチラッと見る。



……あれ?


やっぱり水原くん、なんか機嫌悪く見える……。