「ねぇ、ねぇ、お母様〜、早く読んでよー」

「分かったから、初。早く座りなさい」

着物を着た親子が仲良く座っている。

「じゃあ、静かに聞くのよ」
「分かっております。お母様」

私と同じ名前の女の子。

なんだか不思議な気分だ。

母親は、優しい声で絵本を読み聞かせ始めた。

「あっ、あの本…」

本には、題名がなかった。