「あっ、えっと…

俺…啓斗

大澤啓斗、君は…?」


「私は藤野春香 

服を見ての通り病院で入院中、で抜けだしてます

えへへ…」

罰が悪そうに春香ちゃんと名乗る子は言った。

「あ…やっぱりそうなんだ」


「うん、すぐそこの病院

ここ春に来るのにすごくいい場所だから、よく来ちゃうの

先生たちには内緒なんだけどねっ

ばれたら…こわいこわい、あはは」

こわいと言っている割にはけろっとしている。

「戻らなくて大丈夫なの?

もうすぐ夕方になるよ?」


「あー、昼寝し過ぎちゃったみたい。」


「わかるよ、俺もここでよく昼寝してたから

寝過ぎちゃうのわかる。」

「だよねー! ちょっとまだ桜が咲くには早いけど

満開の頃にここでお昼寝は最高。」

話が合い少し話し込み、20〜30分くらい話した。

「あっ!ヤバイ、先生に怒られる」

気づくと日が暮れ始めている。

「あ、話し込んじゃった。

病院まで送って行くよ。」

「大丈夫! すぐそこだから。

ねぇ啓斗くん、大丈夫なら明日もここに来てくれないかな?

もう少し話したいなって思って…。」

「いいよ、明日は学校午前だけだからお昼に来るね」


「ありがとう、じゃあまた明日ね!」


「うん、じゃあね」

「……あともう1つ、お願い」

「ん?」

「友達になってくださいっ」

「いいよ、でも友達になってくださいって

言われるのって変な感じする」

友達って自然にできるものだから少し春香ちゃんのお願いに笑ってしまった。

「え、変だった!?」

「春香ちゃん面白いね、明日また色々話そう」

「えへへ、うん!じゃあねっ!」

そう言うと春香ちゃんは走って病院に向かった。

さ、俺も帰るか。