私は急いで制服を着た。


因みに向井高校の制服は、紺ブレザーにお揃いの紺のリボン、青色のチェックのプリーツスカートとなっている。


「お嬢様、お車は…」


有川が部屋にやって来た。


「有川、今日から車は大丈夫!
電車通学するから!」


私は、こないだ朱里と買って来た定期入れに入ったSuicaを握り締め、有川にそう断った。


「は、はあ……」


有川は、呆然としていた。


まさか、本当に私が電車通学するとは思わなかったんだろう。


指定のバッグを持ち、ローファーを履いて家を出ると、いつものようにずらーっと並んでいるメイドと執事達の姿はなく、車もなかった。


そうだ。


今度からは、あの列も、なくていいや。


今日から私は、普通の高校に通う、一般人の地味子なんだから。


いざ、脱、お嬢様だ!


私はそう思い、家を出た。


5分位歩いた所で、朱里と合流した。


「苺鈴ー! おはよー!」


朱里が笑顔で私を呼んだ。


朱里は、胸元までの髪に、今までは緩いウェーブを掛けていたが、今日はポニーテールに束ねていた。


ポニーテールのお洒落だけど、ちょっとラフな感じが、制服と良く合っていた。