母さんが航平君の家族と会ってきたと話す。


驚きすぎて声も出ない。


航平君のお母さんはずっと航平君を探していた。


航平は死んでいない、必ず帰ってくると信じて三年も待っていたのだ。


航平君には悠平君と言う、高校三年生の弟がいる。


悠平君もサッカーをしていた。


そして、明日私の通う高校でサッカーの試合がある。


悠平君が試合に出ることを航平君は知っていて、どうしても伝えたい思いと、このサッカーボールを渡したいと言う。


航平君が使っていたサッカーボールを悠平君はずっと欲しがっていたが、このサッカーボールは事故の後行方が分からず、私の教室にあったらしい。


そう言えば誰も使ってないロッカーにサッカーボールがあったことを思い出した。


不思議に思ったけど誰もきづかなかった。


早く気づいていれば、もっと早く航平君に会えていたのかも知れない。


三年間もさ迷い続けていたと思うと胸が傷んだ。