悠平君の家族を見送って帰ろうとしたとき、菜緒がお母さんがいないと泣き出した。


もしかして、母さんもいなくなってしまったの。


「菜緒、ごめんね。菜緒にはもう母さんは見えない。」


母さんの姿はまだ私には見えていた。


母さんもそろそろいくんだね。雲ひとつない真っ青な空を見つめた。


多分、航平君はあそこから私たちを見ていると思う。


母さんも航平君と同じ場所へ帰っていくんだね。


二人が一緒なら寂しくないはず。


「花菜、もう大丈夫みたいね。」


「うん。」


消えて欲しくないけど。


もうこれ以上止められない。


「花菜、ありがとう。奈緒と健也を頼むね。父さんの事も忘れずに。」


分かった。


あの空からずっと見守っていてほしいな。


航平君がいるから寂しくないよね。


バイバイ、お母さん。


バイバイ、航平君。