悠平君が優勝カップを持って、航平君に近づこうとしたとき、航平君の姿が消えた。


するいよ。


涙が止まらない。


「花菜、ありがとう。」


確かに航平君の声が聞こえた。


「花菜さん、ありがとうございました。」


お礼なんて言われたくない。


「花菜さんに見つけて貰えて、兄さんは幸せだったと思う。」


私は何もしていない。


スマホを忘れて、たまたま教室へ行ったら、航平君がいた。


本当にそれだけなのに。


感謝されるほどの事はしていない。


感謝したいのは私のほうだ。


一人頑張る必要はないと、航平君が教えてくれた。


家族に甘えて良いことも。


「航平君、ありがとう。」


もっと早く航平君に会いたかったな。


そうしたら、多分航平君に恋してたと思う。


「俺も同じ。」


え、嘘、本当に。


もし、生まれ変われたら、航平君と出会って恋をしたいな。