悠平君がこんなに凄い選手だと思わなかった。


シュートするたびにものすごい歓声。


航平君はもっと凄かったんだと健也が言う。


そうなんだ。


航平君悔しかったね。


飲酒運転の車にひかれ即死だったなんて。


「自分でも笑うしかなかった。ここに僕はいるよと言っても誰も見てくれない。」


救急車で病院へ運ばれたけど、どうすることも出来ない状態で、僕は天井から白い布をかけられてる自分を見下ろしてた。


両親が来て、悠平が来て。


友達から先生たちみんなが泣いてる。


母さんが死なないでと泣き叫ぶ姿は本当に辛かった。


僕の姿に誰も気づいてくれない。


あぁ、僕は本当に死んだのだ。


悲しいとか悔しいとか、そんな感情はなくて、自分の存在が消えてしまった、その事が耐えられなかった。


死ぬってこうして消えて行く事だと思うと苦しくてたまらなかったよ。


だから、この世に未練を残してさ迷い続けた。


でも、さ迷い続けても僕の存在に気づいてもくれない。


後、どのくらいさ迷い続けたら僕を見つけてくれるのか。


あの教室にサッカーボールを置いてもやっぱり誰も気づいてくれなかった。