目が覚めると、あたしは昨日の格好のままベットの上にいた。



窓からは眩しい光が部屋の中を明るくする。




昨日、あのまま寝ちゃったんだ。

時計を見ると、5時半。
ゆっくりする時間が十分にあった。


疲れが取れ切ってないのか、体がだるい。


それでも無理矢理ベットから体を起こして
リビングへ向かう。




リビングに行くと、ソファーに横たわる母親。



酒の匂いを漂わせながら寝息を立てて寝ている。



白く、細い体。





顔は、似ても似つかない程、あたしと同じ顔だ。





悔しいくらい、あたしは母親似だ。



自分が成長すればする程、まるで自分自身が母親の様な人間になる様な気がして。


あたしはこの人とは違う。



自分にそう言い聞かせて生きてきた。






シャワーを浴び、準備を済ませ、朝食を作る。





食器のカチャカチャという音に反応したのか、母親がゆっくりと起き上がる。




「なによも〜うるさいわね。まだ6時過ぎじゃないのよ」





ソファーから起きるなり、嫌味っぽく言うと母親が冷蔵庫を漁り出した。




「あっ、そういえば今月の家賃、よろしくね」





言われなくても分かってるって。





あたしは返事する事なく小さなテーブルに2人分の朝食を置く。




「いただきます」




そう言ってあたしは料理に手をつける。




母親は卵焼きを一切れ口に入れる。




「やだ千佳!あんた料理の腕あげたんじゃない?これならお嫁に行っても心配ないわね」




あんたが家事なんて何一つしなかったおかげでね。




そう心で呟いた。



「…ごちそうさま」



あたしはそう言うと黙って自分の部屋に行った。