気がつくと、時計は9時をまわっていた。
泣き疲れ、俺はそのままベットの横で眠ってしまってた。
学校もある俺はカバンを持って帰ろうとした時、父親が病室に入ってきた。
「…なにしにきたんだよ」
俺にはどうして今更こんな所に父さんが来るのかが分からなかった。
きっとさっきまで別の家族といた男が。
「悠いたのか。急な事すぎたな…。今日はもう遅いから送って行くよ」
そう言うと父さんは病室を出て行き、俺はその後について行く。
外に出ると黒い車に乗り込み、運転をする父さんは何も言わなかった。
そんな沈黙に俺は容赦なく質問した。
「なんで今更きたの…?」
父さんは驚いたような顔をしてフフッと笑った。
「何言っているんだ悠。大切な家族が死んだのに仕事を優先するわけ無いだろう?」
父さんは、こんな時でも隠すんだ。
「…俺のこと送る暇あるんならあの家族の所へ行けばいいだろ」
父さんはため息をついて、煙草に火を付けて煙を吐き出す。
「…見たのか」
返事はそれだけだった。
謝罪の言葉なんて一言もなかった。
