サビで塗装が全て剥がれ落ちてしまっているくらいボロボロな階段を登って部屋の前まで行く。


踏み込む度に抜け落ちそうだ。


部屋のドアがほんと少し開いていた。






間違いない。





『あいつら』がいる。





確信したあたしは玄関にある靴を確認する。




見慣れた赤いエナメルのパンプスと黒い革靴があった。





家に上がる足が重い。





家に上がると、いちばん奥の部屋からはあの声がする。






母親の汚い喘ぎ声。



あー気持ち悪い。



よく部屋のドアを開けたままにしておけるものだ。






この声には慣れたつもりだったけど、やっぱり聞くたびに心が掻き乱される。





あたしはリビングのソファーに座り込んだ。





しばらくするとその声は絶頂へ行き、行為が終わったことを意にした。