でもあたしも、コイツのせいでかなりペースを乱される…。




そのまま沈黙が続き、気づけばあのボロアパートに着いた。




「じゃあ、ここでいいから。今日はありがとね」



あたしはそう言うと足早に階段を上がる。




「千佳!」



そう言われ、階段から下を見下ろすと悠がまだ立っていた。




なんで早く帰んないんだよ…





「また明日な」




悠はそれだけを言うと暗闇の中に消えていった。





「…変な奴」




『また明日』なんて言われてもどうでもいい。




だって学校でなんて話す気がない。




今日の事だって今日限りだ。


もう2度と関わる事も、あの家に行く気もないだろう。



でも悠といる時間はひどくあたしの心を暖めてくれた。


あたしは部屋のドアノブに鍵をさした。


ガチャっと音を立てる。



今日はしまってる。という事は…




恐る恐る玄関の靴を確認する。