「そろそろ帰るか。送ってくから」
そう言い、悠が立ち上がる。
テレビの横にある時計を見ると、針は9時半を指していた。
もうこんな時間になっていたのだ。
あたしも上着を着て、カバンを持ってエレベーターに乗り、マンションの外に出る。
「じゃ、家まで案内よろしく」
そう言うと悠は歩き出す。
あたしもその後ろを歩き出す。
男の人に送ってもらうなんて初めてだからなんだか恥ずかしい…って私らしくない…
すると悠がポケットから何かを取り出した。
「これ、返すの忘れてた」
これは、あの時にあたしが貸したシャーペン。
返ってこないかと思ってたのに
「そういえばあの時、なんであたしに貸してなんて言ったの?」
「あ〜だって隣の女、なんか嫌だから。それにクセェし」
即答で答える悠。
やっぱりあのブリッ子のこと苦手だったんだ。
あの時の顔、かなり嫌そうだったもんな。
なんか、悠と話してると面白い。
