玄関で立ち止まるあたしに後ろからそう声をかけたのは
あの金髪男だ。
なんなの急に。
「…そう、だけど…」
視線を感じたら目を合わせずらいっての。
「なんでお前いっつも俺と話す時目逸らすわけ?」
そう言うとあたしの顔を覗き込むように近づく。
あたしは反射的に後ろに下がった。
…近いってば!!!
「あたし、人間に興味ないから」
そう言って金髪の男のを睨みつけた。
あたしなりの精一杯の反抗のつもりなのに
キョトンとした顔であたしの顔を見る。
まだ察してないのかよこの馬鹿。
…いや察してくれ。
これ以上こいつと話すのも時間の無駄だ。
濡れてでもいい。バイトに行こう。
あたしは無言でその場を立ち去り、雨の中を走った。
