あたしは目を合わせず、再び窓の方を向いてそう答えた。



「シャーペン貸してほしいんだけど」




はあ?



なんであたしに頼むんだよ。



隣のブリッ子にでも頼めばいいのに。




あたしは渋々と自分の手に持っていたシャーペンを渡す。



その男は「サンキュ。」と言うと再び前を向いた。






あのシャーペン…もう二度と返ってくる事はないだろうな。





なんとなくそんな感じがした。


というか

あの時の瞳は何だったのだろうか。


こんな人間にも悲しい事でもあるのかな。



まあ、どうだっていい。