しんあ「さっ榊原先輩?」


凛「ん?何でしんあがここに?」

榊原先輩は、高3の女性ながらの王子様だ。

カッコイイとは、思っていたがまさか、バイトまでするとは……。

しんあ「えっえっと、俺ここでバイトしてて。」


凛「……でもさ、その制服厨房じゃないよね?厨房以外は、全員女だよね。」

まっマズイ。どう言い訳すれば……。えっと、

凛「もしかして、しんあ女とか?」
ヤバイー!最大級にヤバイ!どーしよー!


ガチャ
凛「あっ!店長、こんにちは。よろしくお願いします。」


店長「こんにちは。時雨。よろしくね。」
店長ナイスです!
時雨とは、凛のゴールドネームだろう。

ゴールドネームとは、言わば芸名のようなものだ。


しんや「店長。こんにちは。」

店長「あら、レイ。来てたのね。早く準備しなさいよ。レイ、個室よろしく。時雨も、早速指名よ。」

しんあのゴールドネームは、レイだ。

凛「えっ?でも……。」


しんあ「あっ、後で話すからホール行って。」

凛「……分かった。」

良かった。とりあえず、先延ばしにできた。


カフェの制服に着替え、指名の個室に行った。

ここ、《cafe seduction》には、ホールと個室がある。ホールでは、基本的にカフェを楽しみたいお客さま。個室では、我々執事に会うために来て下さるお客様をもてなしています。

コンッコンッ

しんや「失礼いたします。」

今日、最初のお客様は、間違いなく

龍夜「おせぇよ。」

龍夜達だろう。

しんや「すみません。ご主人様。早速ですが、ご注文はどうなさいますか。」

ここでは、例え知り合いだろうがタメ口で話してはいけない。


悠「いつものでいいよね?翔ちゃん。りゅうちゃん。」

翔「あぁ。」

龍夜「おうよ。」


しんや「承知致しました。」

スタッフに電話で注文する。

悠は紅茶。翔は、コーヒー。龍夜は、意外にもミルクティーだ。


注文が終わると、早速龍夜が
龍夜「じゃあ、カラオケすっか。」

個室には、 カラオケがついている。
個室は、基本的に1人が30分付いてる。そして、時間が来たら交代だ。個室は、60分が限度だ。つまり、2人指名だ。

翔「そうだな。」

いつもの事だけど。

龍夜「じゃあ、しんや。歌えよ。」

しんや「かしこまりました。リクエストはございますか?」

悠「しんちゃんの愛唄が聞きたい!」


しんや「承知致しました。歌わせていただきます。」

愛唄とは、ストロボエッジの劇中歌、GReeeeNの曲だ。

しんや[ただ、泣いて笑って過ごす日々に隣に立って 居れることで 僕が生きる意味になって 君に捧ぐ この愛の唄]

翔「しんやは、歌うまいよね。」


しんや「ありがとうございます。」


悠「りゅうちゃん。歌って?」

龍夜「絶対嫌だ。」

龍夜は、そのいわゆる音痴だ。


悠「つまんないのー。じゃあ、翔ちゃん、歌って。」

翔「分かった。」


翔[粉雪 ねぇ心まで白くそめられたなら 二人の孤独を分け合う事が出来たのかい]

翔は、レミオロメンの「粉雪」を歌った。

私なんかより断然、翔のほうが上手い。


悠「じゃあ、僕も歌おうかな?」

悠[少し背の高いあなたの耳に寄せたおでこ 甘い匂いに誘われたあたしはかぶとむし 流星流れる苦しうれし胸の痛み 生涯忘れることはないでしょう 生涯忘れることはないでしょう]

悠が歌ったのは、aikoの「カブトムシ」だ。
ってか、悠マジで女だろ!


龍夜は、とても不機嫌そうだけど……。


龍夜「そろそろ時間じゃね?」

私は、時計を見た。確かに30分だ。

しんや「では、失礼いたします。」


悠「うん。後でね。」


そうして私は、足早に次の個室にむかった。