天気職人

森に入るとひんやりとした風が肌を撫でた。

まだ虫の鳴き声が聞こえる夏、雅美はこの空気を肺いっぱいに吸い込んで店へと歩いた。

少し道が開けた所に小さな店が見えてきた。

カランカランと心地よい音をたてながらドアが開いて夏とは思えない涼しい、とゆうか肌寒いくらいの空気が雅美を包んだ。

「ちわーっす、おーいばばあ！いねーのか？」

入って早々大声で叫んだ雅美。

ずかずかと足を踏み入れた先で綺麗な女性が雅美を静かに見つめていた。

が、それも一瞬の事女性はすぐに鬼の形相で雅美に怒鳴った。

「あんたは毎回毎回うるっさいんだよ!!!!!!こっちは静かに読書もできやしない!!!!!もう少し静かに出来ないか!?それとばばあって呼ぶなっつってんだろ!!!!!」

「おーおー、そんなに怒るとシワが増えるぜ」

どうみても雅美より一回りは年下だがこれは魔法で作った姿だ。

本当の年は先代天気職人と同じくらいで相当なばばあだ。

「うるさい！ばかたれ！！はぁ...お前といると疲れる...」

「俺は楽しいぜ」

「黙っておればよい男なのにのぅ...」

「なに言ってんだ。俺はいつでもハンサムだぜ？」

キランという効果音でも付きそうなキメ顔をした雅美に呆れてため息をついて占い師(というか魔女というか)は椅子に腰かけた。