惚れたって、言わせてやるよ



「橘君…私達行くね」


その話を聞きたくなかった。


あの光景を思い出したくなかったから。


だから話を逸らすように祐介の手を掴めば引っ張るようにして歩き出す。


「ちょっと待てよ」


手を振りほどかれてから靴に履き替えた彼を見ている。


「…行くぞ…じゃあまた明日な薫」


もう一度、今度は祐介から手を優しく握られ。


もう片方を薫に向け手を振ってから引っ張るようにして歩き出した。