だけど、 「俺、絶対お前のこと赦さないから」 と言った章吾の声は震えてた。顔はあげれなかった。 章吾が走っていく気配を感じて、足音が耳に残らなくなるまで頭を下げてた。 「ごめん……」 その声や足音が胸に刻まれていくのか、痛かった。 だけど、きっと、章吾はもっと痛かった。 付き合うって、簡単。別れは誰かが傷付く。 そういうものなのかな。 分かんないけど、章吾を傷付けなければあたしも章吾も前に進めないってことは確かな気がした。 好きは痛みを教えてくれる。