「どう、キスした?」

ブッと飲んでいたコーヒー牛乳を吹き出してしまったのは、祢音(ネネ)が真顔でそう訊いてきたからだ。

お昼休みの、学生食堂。いつもと同じ、ニ人で向かいあって食べる。

「だ……誰と?」

「誰とって?
章吾くん以外いないでしょ?
何?他に誰かいるの?あんたが?」

「……いっ、いるわけないだろうが!」

じっと目を細めて疑いの眼差しを向けたあと、ニッと歯を見せて笑った。

「まあ、こんな話で恥ずかしがるいるりが、他の男の子とキスするわけないか」

「そ……そりゃね」

「で、したの?誕生日だったじゃん?」

「し……してねーよ!」