唇がまるで熱を持ったようにビリビリと痺れだした。
痛みはない。
ただ、ジーンと痺れている感じ。
これってなに?
あたしはどうしていいのかわからず、見開いた目で何度も瞬きを繰り返す。
ヒロはまるであたしの反応を楽しんでいるかのように。
口角をキュッと上げて、それからふにゃッと笑った。
「そんな顔しないで?俺、ユーレイって事忘れそう」
「はッ?」
少しだけ小首を傾げ、なんとも意味深なセリフを吐くこの男。
いや、ユーレイ!!
「……ッ」
あたしは開いたままの口をパクパクさせて、声に出さない声を出す。
前髪が触れる距離にいたヒロは、少し体を後ろに引くと楽しそうに笑う。
「あはは。 ユイがそんなに緊張するから俺にまで伝染した」
「えっ?」
ななな…なにそれ!
緊張するに決まってるでしょ?
実際に、キ、キスした事なんかないのに……
あたしのセカンド・キスもこのユーレイに奪われるのかと思うと…
初めてのキスは好きな人と…って決めてたのに。