今すぐぎゅっと、だきしめて。



―――――……
――――…




「ユイ?」

「ユイッ大丈夫か?」



重たい瞼を何とか持ち上げる。



「…奈々子……大樹?」



あたしが気が付いたのを見て、安心したように奈々子が笑った。



「もーう、ビックリさせないでよぉ。 ユイってば極度の怖がりなのに一人で行くからこんな事になるんだよ?」


「…あ、たし…どうしちゃったの?」


身体を起こすのを手伝ってくれた大樹は、目を見開いて二三度瞬きをした。


「…覚えてねぇの?」

「え?」

「自販機走ってって、すぐ倒れたんだよ」


どういう事?


確かにさっきまであたしはヒロといた。
ヒロが何かから、あたしを守ってくれていた。

自販機に走って行ってすぐ倒れたなんて…おかしいよ。


それじゃ、さっきのは夢?

悪い夢だったのかな



見渡してみても、あたし達の周りは静かで。
虫の音が、微かに聞こえてくるだけっだ。


「……」


気が付くと、信吾や美加達も心配そうにあたしを覗き込んでいた。


「…ひ、貧血かな? 心配かけてごめんッ。もう大丈夫だよ」


あたしはみんなを安心させるように、あえて笑顔をつくって見せた。



いない?

ヒロがいない。


―――どこ行ったの?