胸の奥がギュって締め付けられた。
ヒロが、キラキラして見える。
「……ご、ごまかさないでよ」
恥ずかしくて、ゴニョゴニョと文句を言うあたし。
「俺さ……
ユーレイになるまで、好きな子とキスする事がこんなに幸せだなんて思わなかった」
「ヒロ……」
スッと目を細めたヒロ。
その瞳が、あたしに気持ちを伝えてくる。
熱っぽくて
甘くて
優しくて
あたしの大好きなヒロの瞳。
そんなふうに見つめられて、みるみる湯気が出そうなほど、真っ赤になったあたし。
魔法にかかったみたいに動けなくなってしまった。
こ、困る……。
そんなに見つめられたら困るよ。
「……あ、あの……」
なんとか口を開いたあたしだけど。
「あー……、生きてるってこんなに幸せなんだな」
ヒロはそう言って、ほんとに嬉しそうに微笑むもんだから。
もう、何もいえなくなってしまった。
春の風に髪を遊ばせて
ヒロはあたしを抱き寄せた。
見えるところ、全部桜色で。
本当に夢見たい。
だけど、抱き寄せられた胸の中。
伝わる体温は暖かくて。
背中越しにドキドキと鼓動が伝わって。
あたしはこの人に、
二度目の恋をしてしまったみたいだ。
ねえ、ヒロ……。
ヒロがあたしのとこへ来てくれたのは。
あたしがヒロを呼んだからなんだよ?
あたしのいちばんの人が助けに来てくれる
幸せになれる『おまじない』をおばあちゃんから教わっていたの。
だからあたしはヒロに会えた。
ちぃちゃんとヒロが付き合う前に
あたし、ヒロを見つけてた。
あたし、見つけたんだ。
ヒロの家で。
―――…それはね?



