ムっとむくれたあたしをチラリとみて、「ごめん」って言いながら息を整えてる。
「どーせあたしなんて。
ヒロからしたら、子供同然ですよ!
別にいいしッ。 そのぶん若いんだから
若さで勝負するんだから!
お肌のハリだって、違うんだからねッ」
って、あたし意味わかんないし。
プリプリ怒るあたしを、ニコニコと楽しそうに眺めるヒロをまともに見られない。
「ユイはかわいいよ」
「えぇ!? そ、そんな事言ってもダメだからね」
「なんで? ほんとだって」
「慰めてくれなくていいもん」
って、ほんとにあたし、かわいくない。
こんなことで意地張ったってなにもならないのに。
ヒロだって、こんな意地っ張りかわいいって思えるはずない。
せっかくお世辞でも、そう言ってくれてるのに。
素直に喜べばいいのに。
あたしの、バカ。
背を向けていたあたし。
なんだか無性に泣けてきた。
「……ッ……」
桜色に囲まれて。
その視界がぼやけてきちゃう。
泣いたらダメだよ。
かっこ悪すぎじゃん。
必死で耐えていたあたしの背後から、にゅっと手が伸びてきた。
「わッ」
次の瞬間には、後ろからヒロに抱きすくめられてたんだ。
あったかくて、もっと泣きそうになった。



