今すぐぎゅっと、だきしめて。



唇をキュッとつぐんだあたしを見て
ヒロがフッと目を細めたのがわかった。


かあああと火照る頬。

ウザかったかな。
だって、あたしだってヒロと2人きりになりたかったんだもん。


絶対に呆れられると思った。

だけど、ヒロの口から聞こえた声色は全然そんな事なくて。



ずっと

ずーっと優しかった。




「いいから。 座んなって」


「……」




クイッと腕を引かれ、自然な力であたしはヒロの前にペタンと座りこんだ。


片方の膝を立てたヒロの、その間に収まったあたし。



いきなりの至近距離に、心臓がドクンと加速する。




スッポリと腕を回されて。
自分がこんなにも小さかったんだと気づく。


チラリと見上げると、風に髪を遊ばせたヒロが
あたしを見つめていた。



うわわッ!
ち、近いーッ



ドクンドクンって限界を知らない、心拍数。
きっと、あと少しで壊れちゃうよ。


絶対、もたない。



桜の花びらがフワリと舞って、太陽の光のストロボが
真っ黒なヒロの髪を、茶色く染めた。


長いまつ毛が揺れて。

ヒロの長くてキレイな指があたしの髪を絡めとる。




ドクンッ


もう、ダメ……。