今すぐぎゅっと、だきしめて。



入学式は、天井の高い講堂で行われた。


在校生代表で、ヒロの名前が呼ばれた。





ピンと伸びた背筋。

紺色のブレザーに、エンジのネクタイを締めたヒロ。


長い前髪が揺れて、伏目がちのヒロはマイクの前に立つとその瞳を上げた。





ドキン ドキン




遠くてもわかる……。
間違いなく。

ヒロは、あたしを見てる。




真っ直ぐに見つめられて
あたしは体の奥の方から熱くなる。



困るな……ヒロってば。




逸らしたくても出来なくて。
あたしはヒロの魔法にかかってしまった。


うんん、あたしだけじゃないよ。

きっと、その瞳に魅了されてるのは
あたしなはずないもん。




ヒロは、小さく息を吸い込むとそのキレイな唇を開いた。




「新入生の皆さん。
入学、おめでとうございます。

これから始まる高校生活。


いえ……
もう始まっているこの瞬間を

大事に生きてください」





ヒロ……。