驚いた。
だって。
だって……!
「きゃあああッ。永瀬せんぱーい♪」
「こっち向いて~」
「センパイ、おはようございますー」
って。
色んな人に、声をかけられてた。
それも、キレイな2年生の先輩方。
自転車を置いて、校舎に入るまでにたくさんの人がヒロの名前を呼んだ。
ヒロは嫌な顔ひとつしないで、ひとりずつに「おはよ」って返してて。
す、すごい……。
ちぃちゃんちや、ユーレイのヒロと、ヒロの家の行った時に見た写真でわかってたけど。
ヒロは人気者だ。
みんなの輪の中心にいる人なんだ。
かっこよくて、優しくて。
バスケもエースで……。
そんな人があたしの彼氏?
横を歩くヒロをチラリと盗み見る。
背筋の伸びた長身。
適度に着崩した制服。
緩められたネクタイ。
整った顔。
……真夏の雲が良く似合ってた。
でも、真っ黒な髪が、後ろに植えられてる桜のピンクによくはえた。
なんか、あたし……不釣合い?