ひとりでにやけてる、なんとも怪しいあたし。


信号待ちで止まったヒロは
そんなあたしに気づいて「……ぷ。変な顔」って笑った。



距離が近いよー…


ほんわかしてて
あったかいのは


春だからってだけじゃない。



目の前のヒロの体温を、あたしは敏感に感じてるんだ。





ヒロと付き合い始めて、まだ2週間。


生身のヒロにも、まだ慣れないのに。

あたし、ヒロの彼女なんだ……。




きゃあああ。

照れるってば!



もう、あたしの頭の中の妄想は、桜の花よりピンク色だよ。





「おーす、マヒロー」


「おす」




シャーっと音がして、自転車が隣にならんだ。


ハッとして顔を上げると、見たことのない男の人が。


彼はあたしに気づくと驚いたように目を見開いた。




「あれれ? なんだよ、今日はまた、かわいい子連れて。
朝からラブつかないでくれる~?」


「……」



彼は、ニヤリと笑うと足でヒロをつついた。



わわっ

ラブついてって……?
かわいい子!?


シューって感じで、顔から湯気が出た気がする。

そんなあたしを見た彼に「素直だね~」ってまた笑われた。


再び、シュウウウ。



……からかうの、やめてください。